新型コロナワクチン接種後に発症したIgG4関連疾患による胸膜炎
矢田 吉城a 伊藤 雄二a 秋山 崇b 山地 雅之b 沼波 宏樹b 加藤 俊男c
a社会医療法人大雄会総合大雄会病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
c同 病理診断科
症例は79歳,男性.4回目の新型コロナワクチンを接種後,咳嗽が出現し,右胸水を認めたため胸腔穿刺を施行した.胸水は滲出性で,アデノシンデアミナーゼ(adenosine deaminase:ADA)高値を認めたが,診断には至らず,追加で胸膜生検を施行した.病理組織はIgG4陽性形質細胞やリンパ球浸潤を認め,IgG4関連疾患による胸膜炎と診断した.ステロイド治療を開始後,胸水と自覚症状は改善した.ADA高値の胸水の原因として,結核性胸膜炎以外にも,IgG4関連疾患による胸膜炎は鑑別に挙げるべき疾患と考え報告する.
IgG4関連疾患 胸水 アデノシンデアミナーゼ 新型コロナウイルス感染症ワクチン 好酸球増加
Received 28 Nov 2023 / Accepted 5 Mar 2024
矢田 吉城
〒491–8551 愛知県一宮市桜1–9–9
社会医療法人大雄会総合大雄会病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(3): 106-110, 2024