関節リウマチの発症前に抗CCP抗体陽転化を確認し得た間質性肺炎の1例
渡部 晃平 可児 啓吾 佐村 和紀 古室 太誠 榎本 昌光 土谷美知子
洛和会音羽病院呼吸器内科
症例は79歳女性.咳嗽に対し施行された胸部CTで間質性肺炎を指摘された.初回評価では抗CCP抗体陰性であったが経過中に陽転化し,その後に生じた関節炎から関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)の診断となった.特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias:IIPs)と膠原病関連間質性肺疾患(connective tissue disease-interstitial lung disease:CTD-ILD)は区別が困難であり,自己抗体は測定されることもあるが,その陰性をもって膠原病の併存を否定することはできない.関節炎発症前に抗CCP抗体の陽転化を確認し得た症例は貴重であり,文献的考察とともに報告する.
Received 22 Oct 2023 / Accepted 9 Feb 2024
渡部 晃平
〒607–8062 京都府京都市山科区音羽珍事町2
洛和会音羽病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(3): 96-100, 2024