培養条件変更によって検出できたMycobacterium malmoenseによる肺感染症の1例
尾下 豪人 井上亜沙美 佐野 由佳 吉岡 宏治 池上 靖彦 山岡 直樹
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
69歳男性.2型糖尿病を発見され,全身精査中に両肺上葉の空洞影を指摘された.喀痰からMycobacterium malmoenseが検出され,陰影悪化がみられたため,当院を受診した.リファンピシン(rifampicin:RFP),エタンブトール(ethambutol:EB),クラリスロマイシン(clarithromycin:CAM)の併用によって炎症所見と画像所見は改善し,喀痰培養で抗酸菌は検出されなくなった.下気道検体を小川培地で37℃,8週間培養したが検出できなかったため,喀痰を28℃で12週間培養したところM. malmoenseを検出し得た.抗酸菌培養においては菌種に応じた培養条件の選択が重要である.
Mycobacterium malmoense 非結核性抗酸菌 多剤併用療法 低温延長培養
Received 19 Sep 2023 / Accepted 11 Dec 2023
尾下 豪人
〒730–0822 広島県広島市中区吉島東3–2–33
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 13(2): 73-77, 2024