発熱と組織球主体の滲出性胸水で発症したTAFRO症候群の1例
窪田 幸司a 水野 圭子b 宮田真里奈a 新村 昌弘b 濵﨑 哲郎a 井上 博雅b
a公益社団法人鹿児島共済会南風病院呼吸器内科
b鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
症例は66歳,男性.発熱と右胸水貯留の精査目的で,当科に紹介入院となった.CRP上昇と血小板減少,プロカルシトニン陽性,腎障害を認めた.組織球主体の滲出性胸水であり,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)を合併し,抗菌薬不応性であった.頸部・腋窩・腹部傍大動脈リンパ節の軽度腫大,腎障害,胸腹水および全身浮腫の悪化があり,骨髄生検で細網線維化と巨核球増多を認め,TAFRO症候群と診断した.原因不明の胸膜炎を認める例では鑑別診断にTAFRO症候群を考慮する必要がある.
TAFRO症候群 滲出性胸水 プロカルシトニン 播種性血管内凝固
Received 29 Jun 2023 / Accepted 18 Oct 2023
水野 圭子
〒890–8544 鹿児島県鹿児島市桜ヶ丘8–35–1
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
日呼吸誌, 13(1): 44-48, 2024