肺動脈分岐変異が関与したと考えられた肺癌術後肺梗塞の1例
小澤 達志 八巻 春那 東 盛志 髙山 幸二 花田 仁子 瀧 玲子
武蔵野赤十字病院呼吸器科
45歳女性.2年前に肺腺癌に対して右下葉切除術を施行(pT1bN0M0).発熱が出現し,CTで右上葉すりガラス影と右中葉浸潤影を認め肺炎を疑った.その後,右中葉浸潤影は消退したが,右上葉すりガラス影は拡大.気管支鏡下生検では診断に至らず,CTガイド下生検を実施.凝固壊死と出血を認め,肺梗塞と診断.術前CTを振り返ると右A2がA6から分岐し,手術時に切離されていた.肺梗塞も右S2に一致し,右A2切離が関与したと考えた.肺葉切除後に生じる陰影では肺梗塞も鑑別に挙げる必要がある.
Received 26 Mar 2023 / Accepted 27 Jul 2023
小澤 達志
〒180–8610 東京都武蔵野市境南町1–26–1
武蔵野赤十字病院呼吸器科
日呼吸誌, 12(6): 353-357, 2023