潰瘍性大腸炎治療中に診断された好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例
成田 茜衣a 高田 宗武a 松﨑 豊b 藤元 瞳b 小豆畑康児c 中西 正教a
a相澤病院呼吸器内科
b同 消化器内科
c同 病理診断科
51歳男性.喘息とアレルギー性鼻炎治療中,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)を発症し,メサラジン(mesalazine)を投与されたが悪化し,プレドニゾロン(prednisolone:PSL)とアザチオプリン(azathioprine)投与で改善した.その治療終了後,喘息悪化,発熱,好酸球増多,肺多発斑状影,副鼻腔炎などを認め,経気管支肺生検では多数の好酸球とともに肉芽腫の一部や血管炎が疑われる所見も認め好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EGPA)と診断した.PSLを40mgで投与開始し漸減,EGPAの症状や陰影は改善した.UCとEGPAの合併はきわめて稀であるが,文献報告もあり,注意が必要である.
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症 抗好中球細胞質抗体 抗好中球細胞質抗体関連血管炎 潰瘍性大腸炎 炎症性腸疾患
Received 31 Oct 2022 / Accepted 23 Mar 2023
中西 正教
〒390–8510 長野県松本市本庄2–5–1
相澤病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(4): 225-229, 2023