術後胸膜再発をきたした肺原発滑膜肉腫の1例
塩屋 萌映a 蛭田 啓之b 佐野 厚c 内堀 超a 髙島 健太a 松澤 康雄a
a東邦大学医療センター佐倉病院呼吸器内科
b同 病理部
c同 呼吸器外科
症例は70歳男性.膀胱癌の病期診断の際に偶発的に発見された肺腫瘍に対して左肺下葉切除術を施行し,肺原発滑膜肉腫と診断した(pT2aN0M0 Stage ⅠB).9ヶ月後に呼吸困難が出現し,胸膜播種として再発した.再発時は2ヶ月間で約17cm大の腫瘤を形成し,きわめて速い進行速度で増大したが,可能な限りの化学療法を行うことで再発から18ヶ月の延命効果が得られた.肺滑膜肉腫は非常に稀であり治療は確立されておらず,貴重な症例であると考え,文献的考察を交えて報告する.
Received 2 Feb 2023 / Accepted 27 Apr 2023
塩屋 萌映
〒285–8741 千葉県佐倉市下志津564–1
東邦大学医療センター佐倉病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(4): 215-219, 2023