乙字湯による薬剤性肺障害の臨床的検討
さいたま市立病院呼吸器内科
2019年1月~2021年10月の期間に経験した乙字湯による薬剤性肺障害7例を後方視的に検討した.内服開始後約2週間~2ヶ月で発症し,発熱・呼吸困難・咳嗽を主症状とした.血清CRPおよびSP-Dが全例で上昇していた.画像所見はびまん性のすりガラス陰影・浸潤影で,胸膜直下がスペアされる傾向を認めた.気管支肺胞洗浄液では,細胞数・リンパ球比率の増加とCD4/CD8比の低下を認めた.副腎皮質ステロイドの投薬あるいは乙字湯の休薬のみで全例軽快した.漢方薬による薬剤性肺障害において,乙字湯の重要性が示唆された.
Received 10 Nov 2022 / Accepted 16 Mar 2023
連絡先:吉田 秀一
〒336–8522 埼玉県さいたま市緑区三室2460
さいたま市立病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(4): 186-190, 2023