次亜塩素酸ナトリウム消毒液の散布による急性肺傷害が強く疑われた1例
板倉 康司 角藤 翔 高橋 幸大 小林 誠 井草龍太郎 一ノ瀬正和
大崎市民病院呼吸器内科
症例は45歳男性.急性肺炎の診断で入院し,抗菌薬投与後に改善を認めた.第9病日に退院したが,同日に発熱,呼吸困難が再燃し,翌日再入院した.追加の問診で,新型コロナウイルス感染症の感染予防目的に自宅で次亜塩素酸ナトリウム消毒液を散布していたことが判明した.再入院後,環境隔離のみで症状が改善した.環境負荷試験として帰宅した約4時間後に症状が再々燃したため,次亜塩素酸ナトリウム消毒液による急性肺傷害が疑われた.新型コロナウイルス感染症流行期には,薬剤散布による急性肺傷害の可能性を念頭に置く必要がある.
Received 17 Oct 2022 / Accepted 7 Dec 2022
板倉 康司
〒989–6183 宮城県大崎市古川穂波3–8–1
大崎市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(2): 74-78, 2023