クリゾチニブの減量投与により奏効したROS1融合遺伝子陽性肺癌の1例
髙橋 晴香a,b 石川 立b 塩野谷洋輔b 橋本みどりb 道免 寛充c 西山 薫b
aJR札幌病院呼吸器内科
bNTT東日本札幌病院呼吸器内科
c同 呼吸器外科
症例は65歳男性.肺腺癌術後再発に対し,ROS1融合遺伝子陽性のため,クリゾチニブ(crizotinib)を開始.腫瘍は縮小したが,Grade 3の肝機能障害,発熱,皮疹,好酸球増多のため中止.50mg連日からの増量を試みたが,肝機能障害のみ再燃した.休薬し改善後,50mg連日,100mg隔日,200mg週2回と1回投与量を7日ごとに増量した.有害事象の再燃なく完全奏効が13ヶ月間維持された.クリゾチニブはROS1融合遺伝子陽性肺癌におけるkey drugであり,貴重な症例と思われたため報告する.
Received 29 Jul 2022 / Accepted 11 Oct 2022
髙橋 晴香
〒060–0033 北海道札幌市中央区北3条東1丁目
JR札幌病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(1): 50-53, 2023