
免疫性血小板減少性紫斑病をきたした進展型小細胞肺癌の1例
笹本 磨央a 酒井 徹也a 大井 肇a 池田 喬哉b 湯田淳一朗c 後藤 功一a
a国立がん研究センター東病院呼吸器内科
b国立病院機構長崎医療センター呼吸器内科
c国立がん研究センター東病院血液腫瘍科
55歳男性.進展型小細胞肺癌に対する一次治療としてシスプラチン(cisplatin)・エトポシド(etoposide)・デュルバルマブ(durvalumab)を1コース投与後に血小板減少を認めた.次コースの開始を延期したが,血小板減少は遷延し,第50病日には5.6×104/μLまで低下した.PA-IgGは陽性,骨髄は正形成髄であり,血小板減少をきたす他疾患は否定的であったため,デュルバルマブによる免疫性血小板減少性紫斑病と診断した.高用量デキサメタゾン(dexamethasone)療法およびトロンボポエチン受容体作動薬の投与により血小板数の上昇を認め,二次治療の施行が可能であった.
小細胞肺癌 デュルバルマブ 免疫関連有害事象 免疫性血小板減少性紫斑病 ロミプロスチム
Received 21 Aug 2022 / Accepted 3 Oct 2022
酒井 徹也
〒277–8577 千葉県柏市柏の葉6–5–1
国立がん研究センター東病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(1): 44-49, 2023