埃吸入を契機に発症し,縦隔リンパ節腫大を呈したアレルギー性気管支肺真菌症
尾下 豪人 緒方 美里 井上亜沙美 佐野 由佳 吉岡 宏治 池上 靖彦
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
症例は41歳の男性.古い建物の改修工事に従事した際に埃を吸入した.胸痛,湿性咳嗽が出現し,CTで肺野の濃度上昇と縦隔リンパ節腫大を指摘された.末梢血好酸球数や総IgEの高値,好酸球や糸状菌を含む粘液栓などから,アレルギー性気管支肺真菌症と診断した.ステロイドと抗真菌薬による治療で臨床所見は改善した.埃の吸入が発症契機と考えられたため防塵マスク着用を指導した.アレルギー性気管支肺真菌症においてリンパ節腫大を伴う場合,結核,肺癌,サルコイドーシスとの鑑別を要する.
アレルギー性気管支肺真菌症 アレルギー性気管支肺アスペルギルス症 職業性曝露 縦隔リンパ節腫大
Received 19 Jul 2022 / Accepted 26 Sep 2022
尾下 豪人
〒730–0822 広島県広島市中区吉島東3–2–33
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(1): 38-43, 2023