外科的切除前にリポソーム化アミカシン吸入療法を追加した肺Mycobacterium avium症の1例
尾下 豪人a 熊田 高志b 吉岡 宏治a 池上 靖彦a 宮原 栄治b 山岡 直樹a
a国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
症例は45歳の女性.母親が肺Mycobacterium avium complex症で死亡している.肺M. avium症に対して9ヶ月間の多剤併用薬物療法が行われたが,喀痰培養陽性が持続した.リポソーム化アミカシン吸入療法を5ヶ月間追加し,排菌陰性化と画像所見の改善を認めた.残存病変に対して胸腔鏡下左肺舌区切除術を施行し,術後も喀痰培養陰性を維持している.リポソーム化アミカシン吸入療法は術前強化療法として効果が期待できる.
非結核性抗酸菌症(NTM症) 肺MAC症 リポソーム化アミカシン吸入用懸濁液 術前抗菌薬療法 外科的切除
Received 14 Sep 2022 / Accepted 4 Nov 2022
尾下 豪人
〒730–0822 広島県広島市中区吉島東3–2–33
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(1): 19-23, 2023