肺腫瘍や肺内血腫と鑑別を要した胸部手術歴のある特発性血気胸の1例
杉山 陽介 梁川 禎孝 宮崎 菜桜 高田 尚哉 川口 亜記 土屋 貴昭
独立行政法人国立病院機構神戸医療センター呼吸器内科
胸部手術歴がある59歳男性.胸部違和感と咳嗽,血痰を認め受診した.胸部CTで左肺上葉付近に造影剤の血管外漏出像を伴う腫瘤影を認め,肺腫瘍や肺内血腫を疑った.血管造影で肋頸動脈分枝から造影剤の血管外漏出像を認め,経カテーテル動脈塞栓術を施行した.CTでは気胸腔は認めなかったが,症状や画像の経過から特発性血気胸と診断した.胸腔内の癒着によって気胸腔は顕在化せず,また,歪な形で血液が貯留して腫瘤影を呈したと考えた.胸部手術歴がある患者で血痰を伴う胸部腫瘤影を認めた場合は,特発性血気胸も考慮する必要がある.
Received 30 Jun 2022 / Accepted 15 Sep 2022
杉山 陽介
〒654–0155 兵庫県神戸市須磨区西落合3–1–1
独立行政法人国立病院機構神戸医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 11(6): 361-364, 2022