アテゾリズマブ投与後に抗リカバリン抗体陽性の網膜症を発症した小細胞肺癌の1例
窪田 幸司a,b 水野 圭子a 安田 俊介a 松山 崇弘a 濵﨑 哲郎b 井上 博雅a
a鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
b公益社団法人鹿児島共済会南風病院呼吸器内科
症例は86歳,男性.進展型小細胞肺癌と診断し,カルボプラチン(carboplatin)+エトポシド(etoposide)+アテゾリズマブ(atezolizumab)による1次治療を開始した.4コースの化学療法終了後,両眼の急速な視力低下が出現した.精査の結果,抗リカバリン抗体陽性の網膜症と診断した.アテゾリズマブの中止とステロイド治療により,視力障害は軽快した.肺癌の治療開始後に自己免疫機序の網膜症が発症することは稀であり,免疫チェックポイント阻害剤が関連している可能性が考えられた.
アテゾリズマブ 癌関連網膜症 自己免疫網膜症 小細胞肺癌 免疫関連有害事象
Received 3 Mar 2022 / Accepted 20 Sep 2022
水野 圭子
〒890–8544 鹿児島県鹿児島市桜ケ丘8–35–1
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学
日呼吸誌, 11(6): 345-349, 2022