初期悪化による咽後膿瘍を生じた肺結核,頸部リンパ節結核の1例
尾下 豪人 緒方 美里 井上亜沙美 佐野 由佳 吉岡 宏治 池上 靖彦
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
症例は33歳の女性.左頸部リンパ節結核と肺結核に対して抗結核薬が開始された.両病変は改善傾向を示し,喀痰抗酸菌培養も陰性化した.治療開始75日目頃から咽頭後壁に膨隆が出現し,頸部CTでは左咽後膿瘍を認めた.気道狭窄症状が出現したため穿刺排液を行った.穿刺液の抗酸菌塗抹は陽性だったが,抗酸菌培養は陰性であり死菌と考えられた.結核治療を完遂し,肺・咽頭後部病変の再発はみられなかった.結核治療開始後に咽後膿瘍を認めた場合,初期悪化による病変を考慮すべきである.
Received 10 Jun 2022 / Accepted 22 Jul 2022
尾下 豪人
〒730–0822 広島県広島市中区吉島東3–2–33
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(6): 331-334, 2022