ペムブロリズマブ投与後に免疫関連有害事象と2回の偽増悪をきたした再発肺癌の1例
西野 亮平a 小西 花恵b 渡部 雅子a 水本 正a 北口 聡一a 菅原 文博a
a広島市立北部医療センター安佐市民病院呼吸器内科
b広島大学病院呼吸器内科
肺扁平上皮癌術後再発の80歳男性.PD-L1高発現に基づきペムブロリズマブ(pembrolizumab)療法を開始した.しかし,投与後,発熱と呼吸困難,末梢血好酸球増多をきたし,胸部CTにて再発病巣の増大と胸水貯留を認めた.免疫関連有害事象を伴う原疾患の増悪と判断し治療を中断し,ステロイド投与を開始した.2ヶ月後,再発病巣は縮小し,胸水は消失したため病巣の増大は偽増悪であったと判断し,ペムブロリズマブ投与を再開した.しかし,その後,病巣の再増大を認めた.真の進行も疑われたが治療を継続したところ病巣は縮小した.本例は免疫チェックポイント阻害薬の継続判断において,繰り返す偽増悪の可能性も考慮する必要があることを示す.
Received 26 Feb 2022 / Accepted 31 May 2022
西野 亮平
〒731–0293 広島県広島市安佐北区亀山南1–2–1
広島市立北部医療センター安佐市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(5): 305-309, 2022