左側全無気肺による急性呼吸不全を呈したアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の1例
旭川赤十字病院呼吸器内科
76歳男性.呼吸困難を主訴に救急外来を受診した.診察中,急速に左側全無気肺が形成され,急性呼吸不全を呈した.全身麻酔下に気管支鏡検査を施行し,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis:ABPA)と診断した.片側全無気肺を呈したABPAはこれまでに6例報告されているが,本症例は既報と比べ急速かつ重篤な呼吸不全を呈していた.本症例を含む7例はいずれも無気肺形成前にABPAと診断されておらず,時に致死的な呼吸不全を呈して突如我々の前に現れる疾患であることを認識する必要がある.
Received 21 Feb 2022 / Accepted 6 Jul 2022
本田 宏幸
〒070–8530 北海道旭川市曙1条1–1–1
旭川赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(5): 280-285, 2022