クロピドグレルによる薬剤誘発性ループスの1例
髙宮 麗 岡村佳代子 塚本 玲 松尾健二郎 池田 美穂 大西 尚
明石医療センター呼吸器内科
77歳男性.発熱と食欲不振,両側性リンパ球優位の滲出性胸水で入院となった.抗核抗体高値,抗ds-DNA抗体陰性から薬剤誘発性ループスによる胸膜炎が疑われた.胸腔鏡検査で壁側胸膜は広範に肥厚し,胸膜組織は非特異的炎症を示した.抗ヒストン抗体陽性であり,2年2ヶ月前から開始されたクロピドグレル(clopidogrel)を被疑薬と考え中止し,ステロイド投与で改善した.同系統のチクロピジン(ticlopidine)による薬剤誘発性ループスの報告はあるが,クロピドグレルが被疑薬の症例報告はない.胸腔鏡検査も施行した貴重な症例と思われる.
薬剤誘発性ループス 胸水 クロピドグレル 胸腔鏡検査 抗ヒストン抗体
Received 14 Jan 2022 / Accepted 18 Apr 2022
岡村 佳代子
〒674–0063 兵庫県明石市大久保町八木743–33
明石医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 11(4): 207-211, 2022