新型コロナウイルス感染症を契機に発見された肺癌の1手術例
尾下 豪人 妹尾 美里 井上亜沙美 佐野 由佳 吉岡 宏治 池上 靖彦
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
症例は80歳の男性.発熱と咳嗽で発症し,新型コロナウイルス感染症と診断された.診断時の胸部CTで右肺下葉の腫瘤影を指摘されたため,隔離期間終了後に気管支鏡検査を施行され,腺癌と診断された.気管分岐下リンパ節に腫大とFDG集積亢進を認められたが,手術の結果,同リンパ節に転移は認められなかった.COVID-19によると思われる縦隔リンパ節腫大によって病期診断に苦慮した.また,COVID-19肺炎の治癒過程である器質化肺炎像を病理組織学的に確認しえた.
新型コロナウイルス感染症 肺癌 縦隔リンパ節腫大 超音波気管支鏡ガイド下針生検
Received 29 Nov 2021 / Accepted 27 Jan 2022
尾下 豪人
〒730–0822 広島県広島市中区吉島東3–2–33
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(3): 148-151, 2022