エリスロマイシンによる慢性気管支炎治療にて血清CA19-9値の低下をみた1例
今本 拓郎 川﨑 剛 伊藤 拓 鈴木 友里 伊狩 潤 鈴木 拓児
千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学
71歳女性,2年以上持続し6ヶ月前より増悪傾向の湿性咳嗽あり,胸部単純X線で左下肺野浸潤影を指摘された.同時に血清CA19-9高値が判明したが,精査で明らかな消化器悪性腫瘍は認められなかった.慢性気管支炎に対して,14員環マクロライド系薬剤の抗炎症・免疫調整作用を念頭にエリスロマイシン(erythromycin:EM)内服治療が開始された.その結果,自覚症状および胸部画像所見の改善とともに血清CA19-9値が低下した.血清CA19-9値は,消化器悪性腫瘍マーカーとしての役割のみならず,気道炎症の程度を反映する炎症指標にもなりうることが示唆された.
慢性気管支炎 CA19-9(シアリルLea糖鎖抗原) マクロライド長期療法
Received 5 Oct 2021 / Accepted 19 Jan 2022
川﨑 剛
〒260–8670 千葉県千葉市中央区亥鼻1–8–1
千葉大学大学院医学研究院呼吸器内科学
日呼吸誌, 11(3): 134-138, 2022