珪肺に合併し,閉塞性肺炎と前縦隔腫瘤を契機に診断された形質芽球性リンパ腫の1例
山原 美穂a 藤原 慶一a 栗林 忠弘a 松岡 涼果a 牧田 雅典b 柴山 卓夫a
a独立行政法人国立病院機構岡山医療センター呼吸器内科
b同 血液内科
症例は76歳,珪肺の男性.右上葉肺炎と前縦隔腫瘤の精査加療目的に入院した.気管支鏡検査では,右B1入口部は腫瘍で閉塞しており,左主気管支から左上葉入口部も内腔の狭窄がみられた.前縦隔腫瘤の病理組織検査では,免疫芽球様の大型リンパ球の増殖を認め,B細胞マーカー陰性,形質細胞分化マーカー陽性であり,形質芽球性リンパ腫と診断した.右上葉入口部の腫瘍も同様の組織像であった.胸郭内病変を契機に診断された悪性リンパ腫の報告は少なく,さらに形質芽球性リンパ腫は稀であり,貴重な症例と考えられたため報告する.
Received 6 Sep 2021 / Accepted 22 Dec 2021
山原 美穂
〒701–1192 岡山県岡山市北区田益1711–1
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 11(2): 103-108, 2022