大動脈解離後に肺アスペルギルス症を合併した肺動脈肉腫の1剖検例
町井 春花a 横山 俊彦b 谷本 光希c 横山佑衣子d 稲垣 雅康b 都島 悠佑b
a名古屋掖済会病院呼吸器内科
b日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院呼吸器内科
c津島市民病院呼吸器内科
d名城病院呼吸器内科
症例は69歳,女性.大動脈解離の既往があり,左肺門部腫瘤影にて紹介された.腫瘤は60mmで不均一に造影され,他に肺動脈本幹内腔と左肺動脈下葉枝に造影欠損部分を認めた.気管支洗浄液にAspergillus属の菌体を多量に認め,抗真菌薬治療にて左肺門部腫瘤は縮小したが,肺動脈内病変は増大した.広範囲の大動脈解離のため,血管内病変の生検は困難で生前診断に至らず,初診より6ヶ月後に喀血で死亡された.病理解剖にて肺動脈内病変は肺動脈肉腫の診断が得られ,経過と病理像を併せて肺アスペルギルス症との合併が示唆された.
Received 26 Aug 2021 / Accepted 8 Dec 2021
町井 春花
〒454–8502 愛知県名古屋市中川区松年町4–66
名古屋掖済会病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(2): 87-91, 2022