画像所見で後縦隔腫瘍との鑑別が困難であったウエステルマン肺吸虫症の1例
赤池 公孝a 岡本真一郎a 佐伯 祥a 一安 秀範a 河中 功一b 坂上 拓郎a
a熊本大学病院呼吸器内科
b同 画像診断科・治療科
症例は59歳男性.健康診断で胸部異常陰影が認められたため前医を受診し,後縦隔腫瘍を疑われ当院を紹介受診した.当院受診時,自覚症状はなかったが,造影CTとMRIで右肺尖部背側胸膜に接し最上肋間動脈混入を伴う腫瘤影が認められた.同部位のCTガイド下針生検を行い,黄色肉芽腫様炎症反応を背景に虫卵を検出した.血清抗体検査を行いウエステルマン肺吸虫症と診断した.後縦隔腫瘍所見と類似したウエステルマン肺吸虫症の報告は稀で貴重な症例と考えたので報告する.
Received 28 Jul 2021 / Accepted 8 Oct 2021
赤池 公孝
〒860–8556 熊本県熊本市中央区本荘1–1–1
熊本大学病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(1): 41-44, 2022