悪性リンパ腫やIgG4関連呼吸器疾患との鑑別を要した結核性胸膜炎の1例
仙台赤十字病院呼吸器内科
症例は68歳女性,両側下部胸痛を主訴に受診した.胸部CTで両側胸水と左腋窩リンパ節腫大を認め,胸水ADAは105.9U/L,血清IgG4は261mg/dLとともに高値,血清sIL-2Rは1,870U/mLと軽度高値を示した.胸水検査,気管支鏡検査を施行したが,悪性リンパ腫やIgG4関連呼吸器疾患の所見は認めなかった.43日目に胸水の液体培養検査で抗酸菌陽性となり,PCR検査で結核菌が同定された.結核性胸膜炎において,診断の遅れを回避するため,積極的に悪性リンパ腫やIgG4関連呼吸器疾患との鑑別を行うべきと考える.
結核性胸膜炎 可溶性IL-2受容体 IgG4関連疾患 結核性リンパ節炎
Received 10 Mar 2021 / Accepted 12 Aug 2021
塩谷 梨沙子
〒982–8501 宮城県仙台市太白区八木山本町2–43–3
仙台赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(6): 468-471, 2021