ニボルマブ投与中にぶどう膜炎を発症した維持透析中の肺扁平上皮癌症例
上原 有貴a 小林このみa 鈴木 有季a 吉津 和真b 溝田 淳b 長瀬 洋之a
a帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学
b同 眼科学講座
症例は83歳,維持透析中の男性.右下葉扁平上皮癌cT1cN3M0 Stage ⅢB,ドライバー遺伝子変異なし,PD-L1発現不明と診断した.2次治療ニボルマブ(nivolumab)投与開始5ヶ月後にぶどう膜炎を発症した.ステロイド点眼で一時軽快したが,ニボルマブ再開に伴いぶどう膜炎が再燃し,ニボルマブの休薬とテノン嚢下ステロイド注射で改善した.悪性黒色腫では,cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4(CTLA-4)阻害薬によるぶどう膜炎の発症頻度はPD-1/PD-L1阻害薬より高いと報告されており,肺癌治療においてもCTLA-4阻害薬の適応追加に伴い,眼症状にも留意が必要である.
Received 31 Mar 2021 / Accepted 10 Aug 2021
小林 このみ
〒173–8605 東京都板橋区加賀2–11–1
帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学
日呼吸誌, 10(6): 463-467, 2021