医療・介護関連肺炎の入院の契機となった肺炎による死亡とエンピリック治療抗菌薬の検討
長神 康雄a,b 下崎 香c 鳥井 亮a 永田 一岐c 杉原 徹哉c 木原 洋美c 南 博子c 下河邉久陽c,d 佐々木 優c,e 加藤 達治a,c
a戸畑共立病院呼吸器内科
b北九州中央病院呼吸器内科
c戸畑共立病院感染制御部
d同 外科
e同 消化器内科
米国胸部疾患学会/米国感染症学会が成人市中肺炎ガイドライン2019を改訂し広域抗菌薬の初回投与が否定されたため,医療・介護関連肺炎の初回抗菌薬の現状と入院死亡の関連を調査した.合計158例を成人肺炎診療ガイドライン(2017年版)に従って分類し,後方視的に検討した.入院の契機となった肺炎の死亡症例は広域抗菌薬の有無で有意差はなかった.敗血症あり/重症度が高い,または耐性菌リスクのある医療・介護関連肺炎でも,全例で広域スペクトラムの抗菌薬を使う必要はないと考えられた.
Received 14 Jul 2021 / Accepted 21 Sep 2021
長神 康雄
〒802–0084 福岡県北九州市小倉北区香春口1–13–1
北九州中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(6): 441-448, 2021