気管支洗浄液からActinomyces属菌とNocardia属菌が検出された放線菌感染症の1例
尾下 豪人* 渡 直和 髙橋 達紀 妹尾 美里 船石 邦彦 奥崎 健
三原市医師会病院内科
*現所属:国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
症例は57歳の女性.約1年前にCTで左肺下葉に小葉中心性陰影を指摘された.血痰が出現し,CTで肺陰影が増強した.気管支洗浄液のグラム染色では分枝状のグラム陽性桿菌を認め,培養ではActinomyces graevenitziiとNocardia wallaceiが検出された.副作用のため抗菌薬治療は短期間で中止となったが,齲歯治療,土壌曝露回避指導を行ったところ,血痰は軽快し,CTでは陰影が消退した.放線菌感染症においては感染・曝露源対策を積極的に行うべきである.
Received 27 May 2021 / Accepted 12 Jul 2021
尾下 豪人
〒723–0051 広島県三原市宮浦1–15–1
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(5): 398-401, 2021