気管瘻孔を伴う甲状腺膿瘍と多発縦隔膿瘍を合併した骨髄異形成症候群の1例
諏訪中央病院呼吸器内科
甲状腺感染症は解剖学的異常や免疫不全がリスク因子となり,前頸部痛などの局所症状を伴う疾患である.今回,甲状腺膿瘍が気管瘻孔を形成し,局所症状を伴わない,骨髄異形成症候群の症例を経験した.骨髄異形成症候群が甲状腺感染症のリスク因子となった可能性がある.また,甲状腺膿瘍が気管瘻孔を形成すると内瘻化されて膿瘍による局所症状が目立たず診断が難しくなる.甲状腺感染症のリスクを評価し,本症例のような画像所見を見逃さないことが重要である.
甲状腺膿瘍 気管瘻孔 多発縦隔膿瘍 骨髄異形成症候群 免疫不全
Received 31 Jan 2021 / Accepted 19 May 2021
関 智行
〒391–8503 長野県茅野市玉川4300
諏訪中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(4): 368-372, 2021