ADAおよびIgG4高値の胸水貯留で発症し,縦隔リンパ節生検により診断しえた多中心性キャッスルマン病の1例
髙橋 達紀a 尾下 豪人a,* 妹尾 美里a 船石 邦彦a 藤原 誠b 奥崎 健a
a三原市医師会病院内科
b同 外科
*現所属:国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
症例は80歳の男性.両側胸水貯留で発症し,PET検査では縦隔・肺門リンパ節にFDGの集積亢進を認めた.縦隔リンパ節生検を施行したところ,病理ではリンパ濾胞において胚中心を小型リンパ球が同心円状に取り囲み,胚中心での硝子様血管増生も確認された.臨床所見と病理学的所見を総合して,多中心性キャッスルマン病と診断した.炎症反応が軽微にとどまり,胸水のIgG4およびADAが高値を示したキャッスルマン病の非典型例であったため,IgG4関連疾患や結核性胸膜炎との慎重な鑑別を要した.
多中心性キャッスルマン病 IgG4関連疾患 胸水 アデノシンデアミナーゼ
Received 30 Dec 2020 / Accepted 7 Apr 2021
尾下 豪人
〒723–0051 広島県三原市宮浦1–15–1
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(4): 343-347, 2021