肺癌を合併した抗PL-7抗体陽性の間質性肺炎合併皮膚筋炎の1例
岩﨑 剛平a,b 伊東 友好b 篠木 聖徳b 田村佳菜子b 稲田 祐也b 柳原 一広c,d
a大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
b関西電力病院呼吸器内科
c同 腫瘍内科
d関西電力医学研究所臨床腫瘍研究所
症例は68歳男性.1ヶ月前からの労作時呼吸困難,乾性咳嗽で紹介受診した.皮疹,呼吸不全,血清フェリチン上昇,KL-6上昇,抗PL-7抗体陽性,CTで両下肺野に気管支血管束に沿う間質陰影,容積減少および右下葉腫瘤影を認め,抗PL-7抗体陽性の間質性肺炎合併皮膚筋炎および肺癌と臨床診断した.急速進行性間質性肺炎であったため,直ちに非侵襲的陽圧換気,ステロイドパルス療法,免疫抑制薬投与を行い,臨床所見および間質陰影は改善した.後日,経気管支肺生検で,Stage ⅢA肺扁平上皮癌と診断し,抗癌薬治療を行い,腫瘍縮小とともに間質陰影,呼吸機能はさらに改善した.抗PL-7抗体などの抗ARS抗体陽性の間質性肺炎合併皮膚筋炎に合併した悪性腫瘍に対する治療は,間質性肺疾患の病勢コントロールにも寄与する可能性があると考えられた.
抗PL-7抗体 抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体症候群 間質性肺炎 肺癌
Received 19 Aug 2020 / Accepted 6 Jan 2021
岩﨑 剛平
〒545–8585 大阪府大阪市阿倍野区旭町1–4–3
大阪市立大学大学院医学研究科呼吸器内科学
日呼吸誌, 10(3): 293-298, 2021