免疫性血小板減少症の合併が考えられた抗MDA5抗体陽性間質性肺炎の1例
川﨑 樹里 髙﨑 俊和 坂東 政司 間藤 尚子 鈴木 拓児 萩原 弘一
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
63歳男性.3ヶ月前より上眼瞼に浮腫を認め,数日前より発熱,咳嗽,呼吸困難が出現したため当科を紹介受診した.胸部CT所見,典型的な皮膚所見より皮膚筋炎に合併した急速進行性間質性肺炎と診断した.直ちに加療を行ったが,第5病日に呼吸不全のため死亡した.抗MDA5抗体は4,650 index値と高値であった.入院時より血小板数5×103/μLと著明な減少を認め,除外診断により免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia:ITP)の合併が考えられた.抗MDA5抗体陽性ILDでは,稀ではあるがITPを併発する可能性もあり,注意すべき併存疾患であると考えられた.
抗MDA5抗体 皮膚筋炎 急速進行性間質性肺炎 免疫性血小板減少症 血球貪食症候群
Received 3 Oct 2020 / Accepted 2 Feb 2021
川﨑 樹里
〒329–0498 栃木県下野市薬師寺3311–1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 10(3): 288-292, 2021