ペムブロリズマブによるMPO-ANCA陽性の肺胞出血の1例
北島真紀子a 塩谷咲千子b 細谷 尭永a 北島 拓真a 川﨑 広平a 鈴木 朋子a
aJA尾道総合病院呼吸器内科
b因島医師会病院呼吸器内科
84歳男性.進行膀胱癌に対してペムブロリズマブ(pembrolizumab)が導入された.1コース施行後,発熱,血痰が出現し,CTで両肺にすりガラス影,浸潤影が認められた.血清MPO-ANCAの上昇と,気管支鏡検査で肺胞出血の所見が認められたことから,ANCA関連の肺胞出血と臨床診断され,ペムブロリズマブによる免疫関連有害事象(irAE)と考えられた.薬剤中止とステロイド治療により改善した.免疫チェックポイント阻害薬のirAEとして,MPO-ANCAが関与する肺胞出血が起こり得ることを示した貴重な症例と考えられる.
MPO-ANCA 免疫チェックポイント阻害薬 免疫関連有害事象 肺胞出血
Received 11 Oct 2020 / Accepted 25 Jan 2021
塩谷 咲千子
〒722–2211 広島県尾道市因島中庄町1962
因島医師会病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(3): 283-287, 2021