ダサチニブによる薬剤性肺障害の1例
木村 泰浩a 鄭 慶鎬a 佐渡 怜子a 宮沢 直幹a 金子 猛b
a済生会横浜市南部病院呼吸器内科
b横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
49歳男性.慢性骨髄性白血病に対しダサチニブ(dasatinib)内服開始2ヶ月後,労作時呼吸困難,乾性咳嗽が出現した.胸部CTで右側下葉に浸潤影,両側下葉にすりガラス影,気管支肺胞洗浄液でリンパ球の著明な上昇を認め,他に明らかな原因なく,同剤による薬剤性肺障害と診断.プレドニゾロン(prednisolone)30mg/dayで治療開始し症状,肺野の陰影は改善した.ダサチニブによる薬剤性肺障害の報告は稀であり,同じBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害剤であるイマチニブ(imatinib)がその後安全に投与できた経過と併せて報告する.
Received 3 May 2020 / Accepted 17 Feb 2021
木村 泰浩
〒234–0054 神奈川県横浜市港南区港南台3–2–10
済生会横浜市南部病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(3): 277-282, 2021