当院で入院加療した新型コロナウイルス感染症患者の臨床像:第1波と第2波の比較
藤井健太郎a 中村 守男b,* 丸木 孟知c 土屋 悠海c 伊藤 航人c 谷山 大輔c 関根 和彦d 石井 誠e 福永 興壱e 菊池 隆秀f
a東京都済生会中央病院腎臓内科
b同 呼吸器内科
c同 総合診療・感染症内科
d同 救命救急センター
e慶應義塾大学医学部呼吸器内科
f東京都済生会中央病院血液内科
*現所属:独立行政法人国立病院機構神奈川病院呼吸器内科
当院の新型コロナウイルス感染症の診療状況について4月前後の第1波と6月以降の第2波で比較検討し,第2波で致死率が低下し重症化が抑制されていた.重症化マーカーである白血球数,CRP,フェリチン,LDH,D-dimerは酸素吸入を要する中等症・重症群で有意な上昇を認め,第2波では一部は有意な低下を呈したが,第1波と同等に高値である群が存在した.第2波では軽症から中等症への悪化は抑制されていないが,中等症から重症への悪化が抑制されており,レムデシビル(remdesivir)やデキサメタゾン(dexamethasone)などの治療の早期介入が寄与している可能性が考えられた.
新型コロナウイルス 新型コロナウイルス感染症 第1波と第2波
Received 27 Oct 2020 / Accepted 26 Jan 2021
中村 守男
〒108–0073 東京都港区三田1–4–17
東京都済生会中央病院腎臓内科
日呼吸誌, 10(3): 236-244, 2021