慢性咳嗽を主訴としhigh-resolution manometryで診断した食道アカラシアの1例
佐野 寛仁a 山中 駿a 庄司 知隆b 町田 知美c 福土 審b,d 杉浦 久敏a
a東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
b東北大学病院心療内科
c東北ろうさい病院心療内科
d東北大学大学院医学系研究科行動医学
症例は61歳男性.慢性咳嗽を主訴に外来を受診し,胸部単純X線写真で食道拡張および胃泡拡大による左横隔膜挙上を認めた.追加問診で体重減少を認め,high-resolution manometryで食道アカラシアの診断に至った.食後臥位回避の指導と胃酸抑制薬の投与で咳嗽は改善した.咳嗽を主訴とする食道アカラシア症例を文献検索・解析すると,体重減少が多く,嚥下困難感が少なく,胸部画像で食道拡張を9割に認めた.慢性咳嗽診療において食道アカラシアは稀であるが,鑑別に挙げるべき疾患である.
慢性咳嗽 High-resolution manometry (HRM) 食道アカラシア 左横隔膜挙上
Received 14 Aug 2020 / Accepted 2 Dec 2020
佐野 寛仁
〒980–8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1–1
東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 10(2): 191-196, 2021