アスベスト肺の経過中に発症した多発血管炎性肉芽腫症の1例
白波瀬 賢a 西山 理a 大森 隆a 佐伯 翔a 清水 重喜b 東田 有智a
a近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
b公立学校共済組合近畿中央病院病理診断科
症例は84歳男性.アスベスト肺の経過観察中,胸部CTで両側下葉に新たにすりガラス影を伴った結節影(halo sign)を認めた.経気管支肺生検組織で小血管壁の好中球浸潤および弾性線維の破壊像を認めた.MPO-ANCA陽性であり,多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)と診断した.アスベスト肺にGPAを発症した報告はなく,粉塵曝露とANCA産生および血管炎発症との関連を考えるうえで貴重な症例と考えられた.
アスベスト肺 多発血管炎性肉芽腫症 間質性肺疾患 ミエロペルオキシダーゼ抗好中球細胞質抗体
Received 18 Jul 2020 / Accepted 24 Nov 2020
西山 理
〒589–8511 大阪府大阪狭山市大野東377–2
近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科
日呼吸誌, 10(2): 178-182, 2021