脳神経の経時的画像所見を追跡できた完全型Heerfordt症候群の1例
牧口 友紀a 小林 誠一b 豊嶋 昌弥c 小野 祥直b 小野 学b 矢内 勝b
a弘前大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座
b石巻赤十字病院呼吸器内科
c総合南東北病院脳神経内科
症例は50歳,女性.発熱のため受診し胸部CTで縦隔・両側肺門リンパ節腫脹を認めた.耳下腺腫脹,ぶどう膜炎,気管支肺胞洗浄液でCD4/CD8比上昇,経気管支肺生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めた.その後,左末梢性顔面神経麻痺,嚥下障害を発症,完全型Heerfordt症候群と診断した.頭部造影MRIの左顔面神経,舌咽神経の増強効果はステロイド治療で減弱した.神経サルコイドーシスの脳神経症状は顔面神経麻痺が最多だが,画像変化を追跡した報告はきわめて少ない.神経生検が困難な本病態において重要な知見である.
Received 2 Sep 2020 / Accepted 9 Nov 2020
牧口 友紀
〒036–8562 青森県弘前市在府町5
弘前大学大学院医学研究科呼吸器内科学講座
日呼吸誌, 10(2): 173-177, 2021