ニューモシスチス肺炎治療開始後に血球貪食症候群を発症したAIDSの1例
橋本 賢彦 髙橋 孝輔 奥村 暢将 近藤 春香 深津明日樹 原 徹
愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院呼吸器内科
32歳,男性.発熱と汎血球減少のために受診し,HIV感染およびニューモシスチス肺炎と診断された.トリメトプリム・スルファメトキサゾール(trimethoprim-sulfamethoxazole:TMP-SMX)の内服開始後,発熱と汎血球減少の増悪を認めた.高フェリチン血症と骨髄生検で血球貪食像を認めため血球貪食症候群と診断し,TMP-SMXの再開,抗レトロウイルス薬およびステロイドを投与することで病状の改善を認めた.HIV感染者に発症したニューモシスチス肺炎に血球貪食症候群を合併し,原疾患の治療により救命しえた1例を経験した.
Received 20 Aug 2020 / Accepted 11 Dec 2020
橋本 賢彦
〒446–8602 愛知県安城市安城町東広畔28
愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(2): 168-172, 2021