髄膜炎菌性肺炎に起因した侵襲性髄膜炎菌感染症の1例
下村 泰史a,b 砂田啓英也b,c 福井 崇大b 谷 哲夫b 舩津 洋平b 黄 英文b
a愛知県厚生農業協同組合連合会安城更生病院腎臓内科
b国家公務員共済組合連合会立川病院呼吸器内科
c慶應義塾大学医学部呼吸器内科
症例は70歳,男性.発熱,咽頭痛,湿性咳嗽を訴え受診し,市中肺炎として入院した.血液培養が陽性となり,質量分析の結果,髄膜炎菌が同定され,髄膜炎菌性肺炎と診断された.スルバクタム/アンピシリン(sulbactam/ampicillin:SBT/ABPC)を14日間投与し臨床症状,画像所見の改善を認めた.髄膜炎菌はグラム陰性双球菌であり,喀痰培養では口腔内常在菌との分別が困難である.上気道症状を有する肺炎合併患者に対して抗菌薬投与前に血液培養を採取することが,稀な起因菌の同定につながり適切な診断および治療を行う一助となりうる.
Received 12 Jul 2020 / Accepted 29 Oct 2020
砂田 啓英也
〒160–8582 東京都新宿区信濃町35
慶應義塾大学医学部呼吸器内科
日呼吸誌, 10(2): 149-152, 2021