ニボルマブ投与後に微小変化型ネフローゼ症候群を発症した悪性胸膜中皮腫の1例
石田 真樹 鈴本 潤 坂口 才 田宮 暢代 土谷美知子 長坂 行雄
洛和会音羽病院呼吸器内科
72歳男性.検診で左胸水を指摘された.左胸膜結節の生検で悪性胸膜中皮腫cT4N2M0 Stage Ⅳと診断した.シスプラチン(cisplatin:CDDP),ペメトレキセド(pemetrexed:PEM)を2コース投与後に左胸膜結節は増大しニボルマブ(nivolumab)に変更した.ニボルマブ投与前は少量の蛋白尿を認めたが血清アルブミン値は正常であった.3コースの投与終了時より尿の泡立ちに気づき,蛋白尿の悪化と血清アルブミン値低下を認め腎生検を行った.糸球体に細胞増殖,膜性変化,半月体形成はなく,微小変化型ネフローゼ症候群と診断しステロイドを開始した.ニボルマブ投与後にネフローゼ症候群を発症したことより,免疫関連有害事象と考えられた.
悪性胸膜中皮腫 ニボルマブ 微小変化型ネフローゼ症候群 免疫関連有害事象
Received 15 Jul 2020 / Accepted 16 Nov 2020
石田 真樹
〒607–8062 京都府京都市山科区音羽珍事町2
洛和会音羽病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(2): 121-126, 2021