アレクチニブによる薬剤性肺障害後ロルラチニブを安全に投与できた肺癌の1例
高知医療センター呼吸器内科
症例は69歳女性.ALK融合遺伝子陽性肺腺癌に対して1次治療としてアレクチニブ(alectinib)を投与された.アレクチニブ投与開始98日後,低酸素血症および胸部CTでびまん性すりガラス影を認め,精査により薬剤性肺障害と診断した.アレクチニブの中止とステロイド投与により,画像所見と呼吸状態は改善した.アレクチニブ中止2ヶ月後肺癌の増悪を認め,2次,3次治療として殺細胞性抗癌剤を投与したが,ともに2サイクルで肺癌が増悪した.4次治療としてロルラチニブ(lorlatinib)の投与を開始し,投与15ヶ月後も肺癌や間質影の増悪はない.
ALK融合遺伝子陽性肺癌 薬剤性肺障害 アレクチニブ ロルラチニブ
Received 17 Sep 2020 / Accepted 23 Oct 2020
山根 高
〒781–8555 高知県高知市池2125–1
高知医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 10(2): 116-120, 2021