肺内多発嚢胞陰影をきたした月経随伴性気胸の1例
松島 秀和a 塚原 雄太a 川辺 梨恵a 赤坂 圭一a 天野 雅子a 武村 民子b
aさいたま赤十字病院呼吸器内科
b神奈川県立循環器呼吸器病センター病理診断科
症例は,37歳の女性.3回目の左自然気胸にて緊急入院.胸腔内持続吸引をするもエアリークは持続した.胸部CTにて左気胸に加えて両側肺に多発嚢胞を認めた.入院後に右気胸も発症し,右気胸に対して胸腔鏡下手術を施行.横隔膜には明らかな異常を認めず,右上葉に嚢胞病変を認め,肺部分切除術を施行.病理組織学的所見より子宮内膜症による月経随伴性気胸と診断した.術後偽妊娠療法を行い,その後,気胸の再発を認めない.多発嚢胞陰影を伴う気胸の鑑別疾患の一つとして,月経随伴性気胸も考慮すべきと考えた.
Received 19 May 2020 / Accepted 11 Sep 2020
松島 秀和
〒330–8553 埼玉県さいたま市中央区新都心1–5
さいたま赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(1): 83-87, 2021