インフルエンザ肺炎との鑑別を要したオセルタミビルによる薬剤性肺障害が疑われた1例
秀和総合病院呼吸器内科
41歳,女性.発熱,関節痛にて当院受診しインフルエンザA型と診断され,オセルタミビル(oseltamivir)を処方された.翌日に解熱したが咳嗽出現,以後悪化し7日後に再受診し胸部CTで両下葉を中心に非区域性すりガラス陰影を認めた.経過からインフルエンザ肺炎は否定的でオセルタミビルによる薬剤性肺障害を疑った.気管支肺胞洗浄液でリンパ球増多,経気管支肺生検にて軽度胞隔炎を認め薬剤性肺障害に矛盾しない所見を得た.胸部CTで陰影は自然消退の経過をたどったことから,最終的にオセルタミビルによる薬剤性肺障害の可能性が最も考えられた.
Received 18 Aug 2020 / Accepted 5 Oct 2020
貫井 義久
〒344–0035 埼玉県春日部市谷原新田1200
秀和総合病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(1): 59-63, 2021