アテゾリズマブ投与中にAddison病を発症した両側副腎転移を伴う肺腺癌の1例
長野市民病院呼吸器内科
症例は71歳,男性.左上葉肺腺癌4期に対して化学療法施行中,2年前から両側副腎転移が出現した.6次治療アテゾリズマブ(atezolizumab)投与中,下腹部痛,下痢,倦怠感,食欲不振,口唇・舌の色素沈着が出現した.コルチゾール低値,ACTH高値で,Addison病と診断した.ヒドロコルチゾン(hydrocortisone)補充療法にて症状は速やかに改善した.Addison病の原因として,肺癌の両側副腎転移あるいはアテゾリズマブの可能性を考えたが,本症例ではヒドロコルチゾン補充療法後も副腎の縮小を認めなかったことから,副腎転移が原因と診断した.
Received 12 Jun 2020 / Accepted 5 Oct 2020
近藤 梓
〒381–8551 長野県長野市大字富竹1333–1
長野市民病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(1): 55-58, 2021