EGFR遺伝子変異陽性肺腺癌と陰性肺腺癌が併存し同時性多発肺癌と考えられた1例
中山 智裕a 天野 雄介a 杉山 未紗a 矢澤 秀介a 横村 光司a 須田 隆文b
a聖隷三方原病院呼吸器内科
b浜松医科大学医学部附属病院第二内科
症例は71歳,女性.胸水細胞診で腺癌およびEGFR遺伝子変異(exon 19欠失)を認め,左上葉肺腺癌cT1aN0M1a(PLE)stage ⅣAとしてアファチニブ(afatinib)を投与し改善を得られたが,非転移病変として経過を追った右上葉結節の増大と肝転移が出現し,肝生検でEGFR遺伝子野生型,PD-L1高発現の腺癌を確認した.殺細胞性抗癌剤投与後にペムブロリズマブ(pembrolizumab)を投与し,右上葉結節,肝転移は著明に縮小したが,左側胸水の再増悪を認めた.再度殺細胞性抗癌剤投与後にアファチニブを投与し良好な経過を得た.
同時性多発肺癌 EGFR遺伝子変異陽性肺癌 EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 免疫チェックポイント阻害薬
Received 20 Feb 2020 / Accepted 12 Oct 2020
連絡先:天野 雄介
〒433–8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
聖隷三方原病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(1): 50-54, 2021