ペルー出身の後天性免疫不全症候群患者に発症した播種性ヒストプラズマ症の1例
山田耕太郎 加藤 慎平 綿貫 雅之 明石 拓郎 杉山 未紗 横村 光司
聖隷三方原病院呼吸器内科
症例は50代ペルー国籍の男性.持続する発熱,HIV抗体陽性と両側びまん性粒状影の精査目的で当科紹介入院となった.粟粒結核を疑ったが,各種培養検査で抗酸菌は認められなかった.気管支鏡検査で酵母様真菌を認め,出身国からヒストプラズマ症を疑い尿中抗原検査を行った結果,陽性と判明し,AIDSに伴う播種性ヒストプラズマ症と確定診断した.リポソーマルアムホテリシンB(liposomal amphotericin B:L-AMB)による導入療法,イトラコナゾール(itraconazole:ITCZ)内服維持療法が奏効し退院した.ヒストプラズマ症は国外流行地域では主要な感染症であり,わが国でも輸入真菌症として発症する例があるため注意喚起したい.
後天性免疫不全症候群 ヒストプラズマ症 播種性真菌症 輸入真菌症 日和見感染症
Received 18 Jun 2020 / Accepted 14 Sep 2020
加藤 慎平
〒433–8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
聖隷三方原病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(1): 41-44, 2021