ニボルマブによる重症免疫関連有害事象治療中のサイトメガロウイルス感染に注意を要した1例
網野 喜彬a 植松 慎矢a 吉澤 孝浩a 内堀 健a 堀池 篤b 西尾 誠人a
aがん研究会有明病院呼吸器内科
b昭和大学医学部内科学講座腫瘍内科学部門
症例は72歳男性,肺腺癌ⅣA期(UICC 第8版).2次治療ニボルマブ(nivolumab)による免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)の腸炎発症とプレドニゾロン(prednisolone)治療での軽快を繰り返し,プレドニゾロン 10mg/day併用でのnivolumab再投与後に重症のirAE胆管炎を発症.ステロイドとミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetil)併用での治療中に,サイトメガロウイルス感染の先制治療を2度行った.難治性irAEの治療は高度な免疫抑制状態を長期に誘導するため,慎重な管理を要する.
免疫チェックポイント阻害剤 免疫関連有害事象 サイトメガロウイルス 先制治療
Received 31 Jan 2020 / Accepted 7 Sep 2020
西尾 誠人
〒135–8550 東京都江東区有明3–8–31
がん研究会有明病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(1): 33-36, 2021