気管支喘息との鑑別を要した特発性声門下狭窄の1例
西 健太a 松本 久子a 寺田 悟a 小熊 毅a 岸本 曜b 平井 豊博a
a京都大学医学部附属病院呼吸器内科
b同 耳鼻咽喉科・頭頸部外科
24歳,女性.約3年前より咳嗽時の喘鳴,約6ヶ月前より労作時呼吸困難を自覚していた.呼吸困難悪化のため受診した.病歴やアトピー素因は気管支喘息を疑わせたが,スパイロメトリーとモストグラフから中枢気道閉塞が疑われた.頸部CTと喉頭ファイバーでは声門下に狭窄を認めた.精査の結果,特発性声門下狭窄と診断し,待機的にレーザー治療を行い改善した.特発性声門下狭窄は稀な疾患であるが,気管支喘息として治療されていることも多く,治療の遅れにつながりやすい.呼吸器科医にとって念頭に置くべき疾患の一つである.
Received 26 Jun 2020 / Accepted 11 Aug 2020
西 健太
〒606–8507 京都府京都市左京区聖護院川原町54
京都大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(6): 463-467, 2020