外科的肺生検でも診断が困難であったEBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の1剖検症例
袴田真理子a 林 正周a 朝川 勝明a 渡邊 伸a 石川 大輔b 菊地 利明a
a新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科
b新潟県立新発田病院呼吸器内科
症例は74歳男性.発熱と咳嗽を契機に胸部異常影を指摘された.胸部CTで両側多発結節影,すりガラス影を認め,外科的肺生検を施行したが,確定診断に至らなかった.ステロイドパルス療法によりすりガラス影と結節影は改善したが,ステロイドの漸減に伴い呼吸不全が進行し死亡した.剖検で両下葉に多発腫瘤とEpstein-Barr virus(EBV)陽性の異型細胞を認め,EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した.ステロイドの漸減に伴い多発腫瘤影を呈する際は,リンパ増殖性疾患の可能性に注意する必要がある.
EBV陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 外科的肺生検 多発腫瘤影
Received 14 May 2020 / Accepted 17 Aug 2020
林 正周
〒950–8510 新潟県新潟市中央区旭町通1番町757
新潟大学大学院医歯学総合研究科呼吸器・感染症内科
日呼吸誌, 9(6): 458-462, 2020